~経営倫理を事業に生かす経営価値四原理システムとは~

経営価値四原理システムとは、企業その他組織が、事業活動に倫理を取り入れる際、
バランスを考えなければならない四つの原理について述べたものです。

高度成長時代の日本は、事業規模の拡大が企業の命題とされ、競争を勝ち抜くための事業展開を強いられてきました。
目標達成のために、目をつぶらなければならないこともあれば、勢いに任せて後先見ずに突っ走ることも多かったことでしょう。
しかしそれは、法律違反に無頓着であったり、多忙を理由に人権を棚上げにしたり、結果として多くのの公害問題や粉飾決算、収賄などの社会的な事件を引き起こしたというのも事実でしょう。

このような事件の背景として、効率性と競争性を重視した企業経営が悪者にされ、企業はもっと社会性や人間性を重視しなければならないというのが、1980年代後半から1990年代初めにかけて誕生した経営倫理の考え方です。
(※参考:アメリカでは、さらに10年早く同様の考え方が誕生)

こと社会性については、法整備も含め、社会的な制度が経済成長に追いついていなかった頃の出来事であったことも
考慮しなければなりません。現在では、法整備や規制が以前より整備されたことで、
競争性と効率性だけで突っ走れるほど簡単に事業運営はできない状況にあります。

しかし、一方では、高い税金、社会保障制度の負担増など、ただでさえ働き手の意欲を削ぐ経済環境の中で、
企業内での争いごとや責任の押し付け合いなど、企業内個人主義が幅を利かし
事業活動の停滞が高度成長期とは別の反社会的行動を引き起こすきっかけにもなっています。

時代は変わりました。高度成長時のような競争のための不正から、人間性を隠れみのにした、
見せかけの利益や功績作りのための粉飾に走る傾向もみえてきました。高度成長時代に議論された経営倫理は、最近の事件の背景も踏まえ、新たなバランスを見つけなければならない時代になってきたと思います。


経営価値四原理システムは、四つの原理、すなわち、競争性原理、効率性原理、人間性原理、社会性原理の拡大均衡を、時代に合った形にバランスさせるものです。
競争性原理:    企業は正々堂々と熱意をもって競争し、成長しましょう。
効率性原理:    競争に勝つためには、事業プロセスはもとより、肥大化した管理プロセスの非効率も改善し
       「効率」を「ゆとり」につなげましょう。

人間性原理:    「ゆとり」が人をいたわる心をはぐくみ、チームワークを育て、熱意を高めましょう。
社会性原理:    社会とともに成長を喜び、社会を支え社会に支えられる企業に育てましょう。

四つの原理はどこが始まりということではなく、関連性(相乗効果)をもって拡大均衡していくものでなければなりません。
一つの原理をアンバランスに伸ばせば、必ずそこが、何かの隠れ蓑になります。経営倫理は、コンプライアンスとパワハラ、セクハラだけではないということを覚えておいてください。

また、競争性と効率性を野放しにするものでもありません。
社員が勝つために熱意を持てるようになれば、競争性と効率性は自ずと増し、独りよがりにならないように社会を支え、支えられる企業作りのために社会性、人間性を充実させる。そして、それがまた競争性と効率性に返るものでなければなりません。

経営価値四原理システムの導入に際しては、投資対効果のバランスも考えなければなりません。
私達は、経営価値四原理システムの導入の善し悪しをベクトルで表現しています。
縦方向を各原理の効果とし、横方向に導入コストをとり、各原理をベクトルとして表現します。
下半分は、各原理のネガティブ領域、上半分はポジティブ領域として表します。

各原理ベクトル、及びそのベクトル合成を、さらに四つの領域(最適化領域(緑)、要改善領域(青)、要是正領域(オレンジ)、危険領域(赤))に分け、経営価値四原理システムの導入の善し悪しを図に表わします。
赤の危険領域は論外ですが、オレンジの要是正領域は、最近の事件の背景に表れています。

以下に、改善領域にある企業の経営価値四原理システムの導入後に良い結果をもたらすパターンと悪い結果をもたらすパターンの例を示します。

誤った経営価値四原理システムの導入例
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